2021年卒の就職活動は3年次の3月から企業エントリーが開始します。
しかし就活のチャンスを逃さないためには、就活解禁を待たずに動き出さなければなりません。なぜなら実際には多くの企業が既に採用活動を開始しているためです。
この記事では、以下の2点を解説します。
- 企業による実際の2021卒向け選考スケジュール
- 就職活動にあたってやるべきこと
就活に臨む学生の方は、ぜひこの記事を参考にしてみてくださいね。
就活解禁日からの動き出しでは遅い2つの理由
新卒採用の時期については、学業に支障が出ることがないよう、経団連が「3月エントリー開始・6月選考開始」というルールを定めて企業側に配慮を要請していました。
この就活ルールは2020年卒を最後に撤廃されて政府主導に切り替わりましたが、2021年卒も引き続き現状維持という方針が決定しています。
つまり、2021年卒の就活解禁日も3月1日となるわけですが、実際には就活解禁日からの動き出しでは、大きく出遅れてしまいます。
なぜスケジュール通りの動きでは遅いのか、2つの理由を見ていきましょう。
外資系企業やベンチャー企業は3年夏から内定が出始める
外資系企業やベンチャー企業では、5月にサマーインターンのエントリーを開始し、8~9月にインターンシップを実施します。
このサマーインターンは選考を兼ねている側面もあり、優秀な学生に対して内定を出す企業があるため、早ければ夏の終わりに内定を獲得する学生もいます。
また、インターンで直接内定が出さずとも、早期選考参加の案内をインターンに参加した学生にのみ出すケースもあるため、実質的に就活の選考は3年の5月から始まっているといっても過言では無いのです。
外資系企業やベンチャー企業が第一志望の場合はもちろんですが、そうでなくても3月1日の就活解禁時点で内定を持っていれば、精神的にも時間的にも余裕を持ってその後の就活ができるというメリットがあります。
特に外資系の内定を持っていると企業からの反応もよくなり、日系大手企業の選考で有利になるケースも少なくありません。
このようなメリットからも、就活解禁日からの動き出しでは遅いということがわかりますね。
早くから就活を行っている学生は大手選考でも経験値の点で有利に
インターンを受ける学生はエントリー時に自己分析や仕事研究、ES(エントリーシート)提出や面接、GD(グループディスカッション)を経験し、社会人と触れ合う機会も多くなります。
そのため、経団連の就活スケジュールを守る大手企業の選考においても、それまで就活を行っていなかった学生よりも経験値という点で有利な傾向があります。
特に選考を実際に経験することによる差は大きく、積極的な学生の場合、就活解禁日の時点で数回~10回以上の選考を受けている場合も珍しくありません。
企業へのアピール方法も洗練されており、面接やGDの経験値も高いため、選考をスムーズに進められる可能性が高くなるといえるでしょう。
就職内定獲得のための就活スケジュール
就活解禁日を待っていては遅いことがわかったところで、内定を獲得するためには、どのようなスケジュールで動けばいいのかを確認していきましょう。
大きく分けて、就活において行うべきことは次の6つです。
各種選考対策は10月からとしていますが、先述の通り、インターンシップに参加する学生は実践形式で選考の経験を積んでいます。
「10月から始めればいい」というわけではなく、インターンを通じて一通り選考を経験した上で、本選考に向けて対策を始めるのが10月頃からと考えてください。
それぞれの詳しい内容を解説していきます。
自己分析
企業は選考にあたって、「学生の人柄や企業への熱意、今後の可能性を知りたい」と考えています。
それらを的確に伝えるために欠かせないステップが自己分析です。
自己分析では、これまでの人生を振り返り、経験した事柄のうち、自己PRで強みとなるエピソードを複数抽出します。
そして、それぞれのエピソードについて、なぜその経験や選択をしたのか、具体的にどのような問題・課題に取り組んだのか、結果はどうだったか、その経験で何を学んだかなど、深く掘り下げていきます。
複数のエピソードを掘り下げたら、その中に共通する部分を探してみてください。
共通点を整理することで自身の「強み」をはっきりと理解でき、より的確に伝えられるはずです。
サマーインターンを受ける場合には5月にES提出があるため、自己分析は3年の4月頃から始めるといいでしょう。
仕事研究
就活において、企業に対して自分がなぜその企業で働きたいのかを伝えるためには、仕事について深く知ることが必要不可欠です。
仕事研究は自己分析と同じくらい力を入れて行いましょう。
仕事研究は業界研究、企業研究、職種研究の3つに分類されます。
業界研究は、様々な業界について調べ、志望する業界を絞るために行います。
まずは広く浅く、様々な業界について調べて興味のある業界をピックアップし、そこからは深く狭く業界研究を行っていきましょう。
具体的には、ニュースや新聞をチェックする、就活用の業界研究書籍を読む、特定の業界の説明会に参加する、先輩やOB・OGの話を聞くなど、様々な方法があります。
そして、同じ業界でも、規模や事業内容、経営方針、社風、待遇などは企業によってさまざまです。
選択した業界の中でも、なぜその企業を志望するのかを明確にしていくために必要なのが企業研究です。
企業理念や事業内容、IR情報を掲載している企業HPはもちろん、就活サイト、企業説明会、OB・OG訪問など、幅広く情報収集を行い、企業についての理解を深めましょう。
また、業界や企業が同じであっても、事務系や営業系、技術系など様々な職種があり、従事する業務は千差万別です。
職種研究においては、まずは就活本や就活情報サイトでどの様な職種があるのかを調べた上で、自分の能力や志向と照らし合わせて、自分の長所が活かせる職種を見つけることが重要です。
これらの研究によって、その業界を選ぶ理由、その企業を選ぶ理由、その職種を選ぶ理由が明確になるでしょう。
仕事研究は自己分析とリンクするため、同時に行うとスムーズです。
インターンシップ
インターンシップとは、企業が学生に就業体験の場と機会を提供し、その体験を通じて、業界・企業・職種への理解を深められる制度のことです。
インターンシップを実施する企業も増加しており、数日間~1ヶ月以上までと実施期間はさまざま。
先述の通り、インターンはベンチャー企業や外資系企業においては内定に直結することもあり、また、そうでなくとも選考やインターンを通じて就活において有利となる経験を積めます。
そのため、近年では意識の高い学生ほどインターンに積極的に参加する傾向にあります。
しかし、そもそもエントリーした学生全員がインターンに参加できるとは限りません。
人気企業の場合には数百倍もの倍率になることもあるため、事前の対策を万全に行う必要があります。
インターンの選考は多くの場合、「ES(エントリーシート)」、「GD(グループディスカッション)」、「面接」の3段階を経て決定されます。
ESでは、主にインターンに参加したい理由と学生時代の経験、自分の能力についての項目が多く、業界や企業に興味を持った理由やインターンを通じて何を得たいのかなどを整理しておく必要があります。
また、GDでは司会やタイムキーパーなどの役回りへの理解や、論理的思考力が求められます。
面接で聞かれる内容は基本的にESと同様ですが、リアルタイムでの質問形式となるため、しっかりと頭の中を整理して臨み、ブレることなく論理的に回答できるようにしておきましょう。
OB・OG訪問
OB・OG訪問とは、自身が興味のある業界や企業で働いている先輩を訪ねて、実際の仕事内容や社内の雰囲気などを知ることです。
ある程度の情報であればインターネットでも簡単に収集ができますが、やはり実際に働いている先輩方からしか得られない実情や、本音を聞くということはとても貴重な経験だといえます。
このOB・OG訪問は、例年だと本選考解禁の2~3か月前にピークを迎えますので、2021年卒のOB訪問のピークの時期は3~4月になると考えられます。
その頃になると学生が殺到するため、OB・OG訪問自体が組みづらくなり、また、先輩社員もOB・OGが訪問に疲れてしまっていることもあります。
そのため、ピークよりももっと早くからOB・OG訪問を行うのが望ましいでしょう。
OB・OG訪問の開始は毎年10月ごろですので、スタートと同時に訪問してみることをおすすめします。
OB・OGに丁寧に対応してもらえる可能性が高いですし、早い時期からの訪問であれば他の社会人の方を紹介してもらえる可能性もあります。
注意点として、希望する企業の繁忙期は避けるようにしましょう。
先輩社員は忙しい仕事の時間を割いてOB・OG訪問を行ってくれているため、本業が忙しくなる時期は避けるのがマナーです。
なお、訪問相手のOB・OGを探す際には、学校の就職課や指導教官の紹介、所属ゼミや研究室、部活やサークルの先輩、家族や友人などの人脈に当たることが多いようです。
そして実際の訪問で大切なのは、訪問の目的を明確にしたうえで話を聞くことです。
業界の特徴や職種、実務内容、社風、雰囲気、仕事のやりがい、面白さ、苦労など、事前に質問項目をまとめておくようにしましょう。
そして、アポイントの際にはマナーを忘れないことも必須です。
選考対策
インターンシップ参加と平行して、各種選考の対策も行っていきましょう。
多くはインターンの選考と内容がかぶるものですので、これ自体がインターン選考の対策にもなりますので、ぜひ参考にしてみてください。
ES・書類対策
ESは最初の選考材料であると同時に、その後の面接のベースにもなる非常に重要なものです。
しっかりと自己分析と仕事分析を行った上で、時間をかけて丁寧に作成しましょう。
ES作成時には、以下のポイントを意識してください。
- 自分の個性や人柄が伝わるような表現にすること
- 経験談は具体的に伝えること
- 自分自身の言葉で表現すること
- PRのために話を盛りすぎないこと
- 実績は成果だけでなく、そのためにどの様な工夫を行ったかをわかりやすく書くこと
- 強みは自慢話にするのではなく、どの様に仕事に活かせるのかを伝えること
また、企業へ提出する前に、可能であれば先輩やOBに添削も行ってもらうといいでしょう。
身近に添削を頼める人がいない場合には、就活エージェントに依頼するという方法もあります。
もう一点、ESに関する注意として、期限ギリギリに提出することは避けてください。
十分なクオリティに仕上げられないリスクがあり、また、締切直前は企業側にES提出が集中するため、担当者がじっくりとESを読めないケースもあります。
ESは早い段階でアウトラインを作っておき、遅くとも3日前くらいには提出できるスケジュール感で作成を進めるといいでしょう。
SPI・試験対策
SPI試験は適性検査とも呼ばれ、学生の能力と性格から、志望する企業との適性を検査する目的で行われるテストです。
初期選考での絞り込みや面接時の支援の他、配属決定などの際に利用されます。
言語能力検査、非言語能力検査、性格検査、英語検査、構造的把握力検査の5つの検査のうち、2つか3つを組み合わせて行うのが一般的とされています。
そのうち、言語能力検査と非言語能力検査で出る問については、中学校の教科書レベルのものが多いため、問題自体はそれほど難しいものではありません。
しかし、単語帳や暗記アプリを利用して語彙を増やし、長文問題に慣れておくなどの対策は必要です。
また、解けなかった問題はしっかりと理解し、次に同じ問題を解く際には必ず正解できるよう、繰り返し学習しておきましょう。
本番で本領発揮できなかったという事態にならないように、時間配分などを意識しながら繰り返し問題集を解くように事前対策をしてください。
面接対策
面接は選考において最も大きなウェイトを占めるもので、面接官が学生に質疑応答を行い、企業への適性をジャッジします。
面接官の数は1~数名と、企業や選考過程によってまちまちです。
また学生側の人数も、学生が1人の個人面接と、学生が複数名のグループ面接があります。
グループ面接の場合には他の学生と比較されるといわれますが、大きな差はありません。
基本は自己分析と仕事研究を徹底し、自分の長所を企業に対して適切にアピールすることが最も重要です。
また、面接においては、いわゆる「よく聞かれる質問」というものが存在します。
志望動機や自己PR、学生時代に打ち込んだものなどはその代表ですね。
アドリブが求められることもありますが、この様な頻出の質問には事前に回答を用意しておくことで、首尾一貫した自己アピールを行えますよ。
具体的にどんな質問をされることが多いのかや、質問に答える上で意識したいことについては、面接の質問時に失敗しないためのたった一つのコツと必ず対策しておきたい9の質問例を紹介している記事も併せてご覧くださいね。
また、面接においては受け答えの内容だけでなく、マナーも重要なポイントです。
ビジネスシーンにふさわしい身だしなみや服装、話し方を徹底するようにしましょう。
マナーに自信がある方もない方も一度、面接においての基本的なマナーについて解説している記事に目を通してみてください。
GD(グループディスカッション)対策
GDでは、個人面接や集団面接では把握できない一面をチェックすることが目的です。
主に協調性やリーダーシップ、積極性、発言力、気配りなどの対人能力が見られていますよ。
具体的には、他人の意見を聞くことができるか、自身と違う意見に耳を傾けられるか、自身の意見を発言できているかなどです。
対策として、実際にディスカッションの練習をするなど、就活生同士で数をこなしておくとよいでしょう。
本選考
最後に、エントリーから面接まで、本選考の流れに沿って注意点を確認しておきましょう。
エントリー
エントリーは、企業に対して興味があることの意思表示です。
エントリーを行わなければ、その後選考に進むこと自体ができないため、少しでも興味があるところはエントリーしておくことをおすすめします。
選考を進める中で興味・関心が移ることもありますので、業界も絞りすぎないのがポイントです。
参考までに、2018年の学生の平均エントリー数は、29.4社※です。
※2018年卒学生の就職活動の実態に関する調査│公益社団法人 全国求人情報協会
企業説明会
就活が解禁されると、企業による説明会も始まります。
企業説明会は企業の雰囲気や事業内容を深く知ることができ、また、社員に直接質問する機会を得られる場合もあります。
仕事研究のためにも、志望度の高い企業の説明会には、積極的に参加することをおすすめしますよ。
ただし、目的も無く企業説明会に参加するのはただの時間の無駄です。
その分の時間を別の就活対策に割いた方がいいでしょう。
なお、説明会への参加が選考に影響するのかを気にする学生もいますが、説明会参加必須と名言している場合を除き、基本的には説明会参加が選考通過率に影響することはありません。
一部の企業では学生の説明会参加回数をカウントしている場合もありますが、あっても志望度の参考にする程度といわれています。
ES提出
ES提出は早い企業の場合には3月から始まります。
ES作成には時間がかかりますが、エントリーしてすぐに提出を求められるケースもあるため、事前の自己分析や仕事研究が非常に重要といえるでしょう。
ES提出には一次締切と二次締切が設けられている場合がありますが、必ず一次締切に間に合うように提出してください。
企業によっては一次締切の方を優遇し、二次締切からはよほど優秀な学生以外は通過させないという場合もあるためです。
また、一次締切に間に合うように応募する際にも、先述のように、締切の3日前くらいまでにはESが到着するようにしましょう。
SPI(筆記試験)
SPI試験を受験する方法は、テストセンター、Web テスティング、ペーパーテスト、インハウス CBT の4つがあり、企業によって方法が指定されます。
テストセンターの場合には、1度受験して「スコア」を受け取ると、複数の企業の筆記試験に使いまわせますよ。
出題される内容は玉手箱やTG-WebなどWeb-CABなど、志望する企業によって異なります。
過去の傾向から出題内容がある程度予想できるため、事前にリサーチを行った上で、しっかり対策を行いましょう。
面接
面接のスタイルや回数は企業によって様々ですが、①集団面接1〜2回 → ②個人面接1〜3回 → ③最終面接という段階を踏むのが一般的です。
SPIと同様、大手の企業は面接内容も過去の傾向から予想ができるため、しっかりと対策を行って臨みましょう。
まとめ
2021年卒の就活の進め方についてお伝えしました。
経団連による就活解禁日は3月1日とされていますが、実際には企業・学生ともにもっと早くから動き出しています。
この記事を読まれた方は就活スケジュールを参考に、内定獲得のためにすぐにでも動き出してみてください。
<出典・参考>
■時事ドットコムニュース│人手確保へ採用基準緩和も=会社説明会、来月1日から
■公益社団法人 全国求人情報協会│2018年卒学生の就職活動の実態に関する調査
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